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レビュー:人喰いの大鷲トリコ

人喰いの大鷲トリコ
カブ通レビュー:70点

美しくも儚い雰囲気の世界観もいつも通りで、旧作2つともPS2時代の作品なので、PS4になったことで表現力も劇的に上がり、空気感や光の色彩が現実離れした美しさがあります。

ですが「長年かけてコレ?」というのが自分の総評です。

Good

  • 美しさと儚さのある世界観
  • トリコと意思疎通して解決できる謎解きの面白さ
  • トリコのかわいさ

Bad

  • プレイしていて疲れる
  • ボリューム不足

守り守られ信頼に繋がる

旧作ICOのパートナーのヨルダの儚さは守る対象として抜群なのに対し、トリコは大きい体と爪で得体の知れない鎧から守ってくれる存在で、守る対象とはかけ離れています。

ですが話が進むにつれトリコを助けるシーンも増えていき、急を要するシーンでは「トリコがやばい」「早く助けたい」という感情移入をさせてくれるのは流石だと感じます。血が滲んでいる箇所をなでてやると血が消えることに気付いてからはマメになでるようになりました。

ICOとトリコの少年は脱出するための動機と助けたい者がいる点が似てますが、これまでには無かった「助けられる」シーンが増え、トリコを信頼する感情が生まれます。こうした感情を芽生えさせるのは上田氏作品のうまいところだなと感じます。

実験的で好みが分かれるプレイフィール

正直、トリコはプレイしていて疲れるゲームでした。

マップがほとんど高所だったり少年はほぼ無力なので緊張が続いたり、トリコが動物がゆえ思い通りの動きをしてくれずもどかしさもあり、じんわり疲弊していきます。この辺り自分が単にせっかちなだけかもしれませんが。

ワンダの時は広い平原を馬で駆けていく爽快感と巨像との手に汗握る戦い、巨像を倒した時のカタルシスが周期的にあり、プレイヤーの感情をガンガン揺さぶるのですが、トリコは淡々とした探索が長く、物語中で強くカタルシスを得られるシーンもごく数回ほどで、淡々感がかなり長いです。

たまにまじまじと遺跡の美しい風景を眺めることで、癒やしの時間を自分で作るくらいのバランスがよいかもしれません。ICO、ワンダも雰囲気ゲーと揶揄されますが、「雰囲気ゲー」度合いは旧作2つを越えています。

佳作

ICO、ワンダは名作と言えますが、トリコに関して自分は佳作のレベルです。

Steamで1,000円前後で売っているインディーズのアドベンチャーゲームもたまにプレイしますが、ストーリーや雰囲気が優れたものがたくさんあります。トリコはそれらに内容・ボリュームともに近いです。

「採算無視してグラフィック表現をぶち上げたインディーズゲーム」
これが自分の中でのトリコの評価です。

当然10年フルで開発しておらず数年プロジェクトが止まっていたと思いますが、冒頭にもある通り「長年かけてコレ?」と拍子抜けしました。

PS4でなければ不可能なビジュアル表現は抜きに、ストーリーやボリュームだけ見ればワンダから1〜2年でリリースされていてもおかしくなく、どちらかというと社内政治やマーケ的な理由で話が進まなかったのではと思います。PS3でリリースできなかった時点でこっぴどく扱われてそうですし。

自分はプロの仕事やビジネスとしてのバックボーンも気になってしまうので、こういう評価になりました。

とはいえ最後に切なさ残る締め方は美しく、終わり良ければ全て良しかなとも思えるゲームでした。

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